ホーム > Book > 「月光ゲーム」「孤島パズル」「双頭の悪魔」と、続けざまに読み、学生アリスシリーズを堪能してみた

「月光ゲーム」「孤島パズル」「双頭の悪魔」と、続けざまに読み、学生アリスシリーズを堪能してみた

月光ゲーム―Yの悲劇’88 (創元推理文庫)孤島パズル (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)双頭の悪魔 (創元推理文庫)

ミステリー小説初心者なので、有名作品をあちらこちらと掻い摘んで、読んでおりますが、今回は有栖川有栖の学生アリスシリーズ「月光ゲーム Yの悲劇’88」「孤島パズル」「双頭の悪魔」を、立て続けに、3冊読了。
まず一言、『面白かった』

YouTube – Golden Hair by Syd Barrett
「双頭の悪魔」の中で、歌詞の一説が出てくるシド・バレットの曲。作品内でも触れてますが、シドの書いた歌詞ではなく、20世紀を代表する作家・詩人として知られるアイルランド出身のジェイムズ・ジョイスの詩に、歌を付けた曲です。
まだ、プログレッシブ・ロックになる前のサイケデリックなPink Floydの中核メンバー、シド・バレット。早くから精神に異常をきたし、その解決策として、デヴィッド・ギルモアをメンバーに入れ、「創作活動はシド、ライヴではギルモア」という形を取るも…シドの精神はますます悪化し、結局、脱退してしまいます。
かつてのバンドメンバーの力も借り、この曲が収録されたソロアルバム「The Madcap Laughs」(邦題「帽子が笑う…不気味に」)を作りますが、その後、もう一枚のアルバムをリリースするも、もはやどうにもならなくなった精神状態の為、音楽から離れ、隠遁生活を送る事に。
多分、そういったシドの情報なしに聴いても、「何やら、妙な世捨て人が奏でるような音」だと感じる人は多いと思います。アルバム全編通して、その通りの音楽です。。。

「月光ゲーム Yの悲劇’88」は、EMC(英都大学推理小説研究会)の面々が夏合宿として訪れた山が噴火し、キャンプ場に閉じ込められ…
「孤島パズル」は、EMCの新メンバー、マリアの誘いで宝物探しに訪れた孤島で、天気が悪化した為、閉じ込められ…
「双頭の悪魔」は、マリアの救出をマリアの父に頼まれたEMCの面々が、芸術家達が集っている村・その隣村に分かれ、これまた天候悪化の為、互いに分断される形に閉じ込められ…
と、どの作品も、クローズド・サークルの世界で、殺人事件が起き、主人公の有栖川有栖の目線で、探偵役として部長の江神二郎が事件の謎を解いていきます。(「双頭の悪魔」に関しては、アリス視点に加え、マリア視点もあり、それぞれ分断された村で起こる事件を描いてます)
江神・アリス・マリア以外にも、望月・織田という2名がEMCには所属し、「孤島パズル」では現場に行く事もなく、冒頭ちょい役出演ですが、「双頭の悪魔」では、取り残されたアリス・望月・織田のトリオが、江神の捜査とはまた違った形で、お互いに、頭を悩ませつつも、話し合いに話し合いを重ね、結論を導こうとする姿が…非常に印象的で、それまでの2作を踏まえた上で読むと、彼らの姿がとにかく良くてねー。

勿論の事ながら、江神二郎という探偵には、非常に興味を持ちました。
彼の場合、探偵として、自ら買って出るわけでもなく、結果、巻き込まれてしまった事件について…「いかなる理由があるにしても、誰かが誰かを殺す殺人という行為」というモノを許せないんでしょうね。決して、熱血漢ではなく、大学4年生のまま留年を繰り返す怠惰な人ではなく1、それでいて、部員は皆、部長を信じている・部長も彼らを可愛い後輩と思っている、そんな姿が魅力的なんでしょうね。

ちなみに、ミステリー小説初心者の私は、人物が多くなってくると頭の中がこんがらがって、冒頭に書かれている登場人物一覧などをよく見返す癖があるので、そこで一計を案じる事にして、「登場人物の姿を誰かに置き換えてみよう」と思ってみたわけですが、容姿を勝手に、改悪してしまうのもアレなもんで、「その人が話すその声を、声優さんに置き換える」方法を用い、それがうまい具合にフィットしてます。
例えば、探偵アリスシリーズなら、アリス=神谷さん(ちょっと違うかな?)、江神=子安さん、望月・織田=私の知り合い、などに置き換えてます。あっ!「双頭の悪魔」に出てくる詩人・志度晶は杉田さんでした。で、芸能スキャンダルを追うカメラマンは、当初は、「ひぐらしのなく頃に」の富竹ジロウの絵を思い浮かべていたのですが、殺される頃には戦場カメラマンに置き換わっていた( ̄□ ̄;)

どの作品も、殺人事件の結末が分かると、確かに、犯行動機のしっかりある人物なんですが…トリックや作中でのアリスの視点・各人の動き・言動などのかませ方巧く、毎回、見事に引っかかってしまう。汗。そして、読み終わった時に、犯行動機・引っかかった自分の視点などを踏まえても、納得がいき、かつ、青春小説的な世界観もあるので、これがまた切なかったりもして、本当にうまく出来ているなーと感心に次ぐ感心をしながら、読ませて頂きました。

私のようなミステリー小説初心者の方には、勿論、お勧めですし、特に評価の高い「双頭の悪魔」を読んでみようと思うのならば、是非、「月光ゲーム Yの悲劇’88」「孤島パズル」を先に読んでほしいなーと。それにより、前述のアリス・望月・織田のトリオが非常に楽しめますから。

今月末には、2007年に発売された学生シリーズ第4弾「女王国の城」が文庫本になるそうで、ちょうど良いタイミングなので、そちらの上下巻を購入し、更に楽しませて頂こうかな?と思ってます。
女王国の城 上 (創元推理文庫)女王国の城 下 (創元推理文庫)

  1. 「双頭の悪魔」の中で彼が4年生を繰り返す理由を、マリアに語っています []

    関連する記事はありません

コメント:0

コメントフォーム
入力した情報を記憶する

トラックバック:0

この記事のトラックバック URL
http://relucy.com/2011/01/14/gakusei-alice-series.html/trackback
トラックバックの送信元リスト
「月光ゲーム」「孤島パズル」「双頭の悪魔」と、続けざまに読み、学生アリスシリーズを堪能してみた - Re: Lucy より

ホーム > Book > 「月光ゲーム」「孤島パズル」「双頭の悪魔」と、続けざまに読み、学生アリスシリーズを堪能してみた

QRコード
読書メーター
マソラの最近読んだ本 マソラさんの読書メーター
etc.

あわせて読みたい

フィードメーター - Re: Lucy

ページの上部に戻る